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2007/06/27 (Wed)

「話が弾んでいるところ失礼だが、あなたも少しは状況がつかめているようだが、これからどうする」

彼らの会話を見ていた紅簾が唐突に口を開いた。

「そうだな。まず鈴の名前を変えるか。そうしたらここから離れた方がいいな」

琉砂はところでと紅簾を見た。

「お前さんは誰だ?」

「紅簾」

一言で自己紹介を済ました紅簾をじっと見ると、琉砂はにかっと笑い紅簾の肩をばしばしと叩き、なにやら打ち合わせを始めた。

隣でその光景を眺めていた鈴は、いくら皇獣だと知らないとはいえ、あの紅簾にあんな風に接することができる琉砂に感心した。

紅簾は近くにいるだけでも威圧感を感じる。鈴と接しているときはいくらか柔らかくなるが、それでもつい姿勢を正してしまうような、そんな気配がその場に満ちる。

だが、紅簾と流砂がいると威圧感を感じない。

 この二人、実は意外と気が合うんじゃないかな。

実際彼らはうなずいたり、意見を出し合ったりとこれからのことを話し合っている。

そんな彼らを見ていると微笑ましい感じはするが、自分ひとりだけ疎外感を感じるのは気のせいだろうか。

いや・・・・気のせいじゃない気がする。

だがそう思っていても、鈴にできることは何一つとしてない。

宙を掻くような、ただすり抜けるだけの感覚。別に何ともない。今までだって一人で耐えてきた。今まで何度も・・・・・

ふと気が遠くなった気がした。波が水辺に咲いた花をさらうように意識が遠のく。

それに抗うこともできずに、鈴はベットの上に倒れた。

 

 

ドサッ

そんな音を聞いて二人が振り返ると、鈴がベットの上に倒れていた。

紅簾が慌てて駆けつけ鈴を見てみると、彼女は規則正しい呼吸を繰り返していた。

「よほど疲れていたんだな。話は一通り聞いているが、何とも大それたことを仕出かす奴もいるんだな」

 琉砂は、指にはめた植物を形どった指輪をくるくると回しながら呟いた。

 そんな彼の言葉を聞きながら、鈴を抱き上げ、体勢がきつくならないようにそっとベットに寝かした。そして、その紅い瞳だけを琉砂に向けて、警戒するような口調で一言言い放った。

「あなたは人間としては、できるな」

 一瞬、指輪を回すことを止めた琉砂の瞳には、鋭い光があった。

だがそれも一瞬のことで、すぐに悪戯っぽい笑みに変わった。

「もちろん、あなたはそれなりの腕があるだろう。だが、それだけでもないはず」

「そうだな。他の奴らに比べたら少し変っているかもしれないが、どうしてそう思った?」

「あなたは私達の居場所を知っていた。そして、この状況にあることも。ただの人間ではいくら鈴の存在を知っていたとしても、ここまで状況を知ることはできないだろう」

 紅簾は確信めいたようなものを持ってはいたが、琉砂が黙っていたので目を細めた。

「無論、あなたは鈴に危害を与えない。そうでしょう?」

容赦ない紅簾の力を真っ向から受けて、琉砂は一瞬驚いたが、目をまっすぐ向けて答えた。

「当たり前だ」

すると紅簾は「さて」と何事もなかったかのように話を進めた。

「これからのことについて話し合おうか」

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