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2008/07/19 (Sat)
闇。
すべてを飲み込む、深い闇。
姿も声も意味を成さぬ空間。
長い時の中、ただ目を閉じてボクはそこに存在していた。
ここには、僕以外の者はいない。
僕でさえも存在するだけにすぎない。

「・・・・・・」

不意にありはしない気配を感じ、ゆっくりと目を開けた。
そこは相変わらず何も見えなかったが、自分の首にまわされる腕と背に感じる僅かな熱が、その存在を教えてくれる。

「探しました」

静かな空間に声が響く。
優しく、美しい懐かしい声。

「どうして来たの」

僕は冷たい声で君に言う。
君はここにいるべきではない。
ここは、罪のある者が堕される場所なのだから。

「あなたこそ、何故ここにいるのです」

少し怒った口調。
そうだろう。
僕は、君の前から姿を消したのだから。

「あなたに罪は無い」

その言葉に僕は笑う。

「あなたに罪は無いんです。だから、ここにいる必要はないでしょう」

君から伝わる熱が、僕を『過去』の僕へ戻そうとする。
それを拒むように、僕は君の腕を振り払う。

「罪?僕の存在自体が罪なんだよ」

この言葉に君はきっと傷つくだろう。
その瑠璃色の瞳を歪ませて。

「何故・・・・・・・!!」

君は叫ぶ。
何故?
それが神と僕との契約だから。

「帰れ」

君を守るためならば

「君はここにいるべきではない」

どんなことでもしよう。

「神の下へ帰るんだ」

例え、この身を闇に堕したとしても。

「僕を忘れて」

「・・・・・・!!」

君に僕の姿は見えないだろう。
与えられた暖かさに涙を流す、僕の姿が。
だが、それでいい。
君だけは、光の中で生きていてほしいから。

「帰るんだ」

声も体も震えない。
流れるのは涙だけ。

「・・・・・・」

一瞬で君の気配が消え、僕はその場に膝をつく。
君に貰った熱を逃がさぬように、自分の体を抱きしめながら。
そして、僕は目を閉じる。
この深い闇の中で、再び長い年月を過ごすために。


君に忘れられるなんて、平気なわけがないだろう?
  
僕のただ一人の愛しい人。
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自然をこよなく愛し、たまに小説なんかを書くマイペースが自慢な人間です。
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