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2009/06/17 (Wed)
君だけに捧げよう
それは誰も知らない僕の心
誰も得ることのできないもの
ずっと夢に見てた

『また会える日まで』

その言葉が僕を支えて
こうしてここに僕はいる

ねえ、君は覚えてる?

あの日の約束を
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2009/03/17 (Tue)

『貴方を待ち続けましょう・・・』






月を映す湖。
その静かなる水面に波紋が広がり、止まることを知らぬように水岸へとたどり着く。
辺りの木々達は、静寂を守るように沈黙を続けていた。

「・・・・・・白麗(ハクレイ)」

男の声が風に溶ける。

その瞬間から、ここは神聖な場所となる。

水面の月が揺れ、湖自体が淡く光りだす。
男はそれに驚くことなく、ただ前を見つめている。
まるで、愛しいものを見るように。

湖の中央に現れたのは、1頭の鹿。
その身に纏いし白を月の光で白銀に染め、揺らぐことのない碧い瞳に男を映す。
どこまでも白く、美しいそれは水に沈むことなく、ゆっくりと男の方へと歩いてゆく。

鹿が男の前まで来ると、男はそっと手を伸ばし、鹿の頬に触れた。

「・・・白麗」

白麗と呼ばれた鹿は、その声に嬉しそうに目を細めて、男の手から離れた。

『・・・久しいですね、黒醒(コクセイ)』

鈴を鳴らしたような声が男、黒醒の頭に響く。
黒醒は懐かしむように笑いながら碧い瞳を見つめた。

「・・・あれから、三百年は経ったからな」

『・・・・・・もう、そんなに経ちましたか』

「ふっ、お前は眠っていたから、あまり感じないないだろうがな。人の世は変わったぞ」

『その様子だと、貴方は相変わらず、人に紛れているようですね』

くすくす、と響く音色が心地よく、自分とは正反対の白が、何よりも愛おしい。
三百年など、彼らにしてみれば大した時間ではない。
しかし、例えそうであっても、この穢れのない白が傍らに居ないことは苦痛でしかなかった。

それでもなお、人に混じるのは――


『私を、守って下さったのでしょう?』

この場所が、以前と変わっていないことがその証拠。

愛しい白の場所を守るためには、人として生きるほかなかった。
穢れに弱い白麗を守るために。

『・・・すみません。貴方に、苦労をかけてばかり・・・・・・』

「・・・・・・今更だな、白麗」

苦しそうな白麗に笑ってやる。

「人に紛れるのは、お前を守るためでもあるが、観察してみると、人というのもなかなか面白い生き物だよ。弱いくせに、変なところで強い。喜びや愛情、悲しみ、憎悪。様々な感情があの小さな器に入っているんだ。

 穢れも強いが・・・あれらの観察も悪くない」

だから、気にするな。

『・・・・・・はい』

泣きそうな声で返事をする白麗に、愛おしさが増す。
白麗の頭を抱き寄せ、額に優しく口付ける。

目を閉じ、互いに額を合わせれば、すべての感覚が満たされていくのを感じる。

『・・・夜が、明けます』

空は白み、あと少しすれば朝日が差すことが知れる。

『行くのですか・・・・・・?』

碧の瞳が紅の瞳を見つめ、そっと腕に擦り寄る。
それを優しく抱きとめて、黒醒は苦笑した。

「・・・行かねばなるまい。この場所を穢されては堪らんからな・・・・・・お前と、俺の場所だ」

黒醒は名残惜しげに腕を放し、顔に笑みを浮かべる。

「また来る」

そう言って白麗に背を向けた。

『・・・黒醒!』

「?」

『次は・・・・・・次に来るときは、もっと早く来てください。三百年なんて・・・待たせないでっ』

「・・・ああ。お休み、俺の白麗。良い夢を・・・」

『お気をつけて・・・・・・黒醒』

日の光が差すと同時に、白麗の姿は薄れ、次第に消えていく。

・・・待っています。

姿が消える直前にかすかな音が響き、残ったのは水面の波紋だけだった。

「おやすみ」

優しく呟いて、黒醒の姿もまた、森の奥へと消えていった。



誰も知らない湖のある夜の物語。

2008/11/19 (Wed)
―― チリン

すべてを覆い隠すような闇が満ちている場所に、透き通った鈴の音が響く。
その音は、波紋を広げるように闇の中に広がり、やがて静かに消えてしまう。

「主」

そこに、白銀を纏った青年が現れ、地に膝を着き深く頭を垂れる。
青年の前には、漆黒の少年。
服もまた黒で統一されているが、唯一、手首に付けられている鈴は銀色に輝いている。

少年は、目を閉じたまま天を仰ぎ、ふと、何かを感じたように目を開けた。

「九尾」

澄んだ声と群青色の瞳が『九尾』と呼ばれた青年に向けられる。

「はい」

その視線に答えるように、九尾は顔を上げて主を見つめる。

「我が九尾の狐よ、言伝を頼む。烏天狗に、急ぎ我が下へ参るようにと」

「御意」

その声と共に九尾の姿が掻き消える。
一人残った少年は、再び空を見上げ、切なげに目を細める。

「・・・・・・風が変わる」

その呟きは誰にも聞こえない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんとなくで書いたら、意味不明な文章に・・・・・・。
本当は、こんなの書いている時間はないのですけどね。

2008/11/18 (Tue)
――想いは果てることなく


あなたが私の前から消えてから、数え切れないほどの時が流れました。
かつての友は、あなたを裏切り者だと罵り、親しかった者達もしだいにあなたの存在を忘れていった。
あなたに罪など無い。あるはずがないというのに。

私は探しました。
共に道を歩み、夢を誓い合ったあなたを。

そして、やっと見つけたあなたは、私を拒絶した。

『僕を忘れて』

そうあなたは言った。

けれど、忘れられるわけがないでしょう。

ずっと望んでいた。
あなたに会うことを、あなたの傍にいることを。

その言葉ほど、私を傷つけるものはありません。

「あなただけが・・・・・・」

――あなただけが、私の光なのに!

神が私達の父であり、道であり、絶対の存在であっても、私の光はあなただけなんです。
光を失ってしまった私はどうすればいいのです。

あんな暗くて、寒くて、淋しい場所にいるあなたを見つけてしまったら、離れることなんて出来なくなってしまうでしょう。

独りで耐えるあなたを、独りにはしたくない。

傍にいたい。

・・・・・・だから、私は。




「やっぱり、無理です」

「!!」

「あなたを忘れることなんて、できません」

すべてを染め上げる漆黒の闇の中で、涙を流しながら眠るあなた。
それを知ってしまったら、もう戻れない。

優しく抱きしめて

「あなたはいつも独りで泣く」

ずっと傍に

「意地を張らないで下さい」

たとえ、永劫に続く咎を与えられようとも


「・・・・・・君は馬鹿だ」

「はい」

「あのまま、神の下にいれば幸福が約束されたというのに!」

「ええ」

「僕がっ・・・!僕がなんのために、ここにいると思っている!!」

「・・・・・・私のため、なのでしょう?」

「それが分かっていながら!何故、ここに戻ってきた!!・・・・・・なんのために、僕はっ」

腕の中で嘆くあなたに、私はどこか安心した。
あなたの温もりを感じられることが、ただ嬉しかった。

「私のことが嫌いになったのではないのですね?」

「自分の半神を、嫌いになるはずがないだろう!」

ああ、私は今あなたの傍にいる。
私の愛しい半神。
共に生まれた片割れ。

「父に逆らう覚悟はできています」

「・・・・・・」

「もう、独りは嫌です。あなたが傍にいない虚無感を感じるのは、はもう嫌です」

「・・・・・・」

「お願い。・・・傍に、いて」

――お願いだから。

「・・・・・・それでいいのか」

「・・・・・・っ」

「君は、後悔しないか?」

「っは、い」

「・・・・・・君は、本当に・・・救いようがないな」

そっと抱きしめられる。
あなたの体は冷たいけれど、流れる涙は暖かい。

何も見えない闇。
それ故に、互いの存在が強く感じられる。


「父は・・・・・・神は、許しはしないだろう」

「ええ」

「どんな咎を負うか分からない」

「覚悟はできています」

「・・・・・・なら」

あなたの力が膨れ上がる。
神すらも恐れる力。
あなたは破壊。私は創造。
空間を引き裂き、理を曲げ、すべてがあなたに平伏す。

さあ、行きましょう。

新たな世界を創造するために。

私達の楽園を求めて。

2008/07/19 (Sat)
闇。
すべてを飲み込む、深い闇。
姿も声も意味を成さぬ空間。
長い時の中、ただ目を閉じてボクはそこに存在していた。
ここには、僕以外の者はいない。
僕でさえも存在するだけにすぎない。

「・・・・・・」

不意にありはしない気配を感じ、ゆっくりと目を開けた。
そこは相変わらず何も見えなかったが、自分の首にまわされる腕と背に感じる僅かな熱が、その存在を教えてくれる。

「探しました」

静かな空間に声が響く。
優しく、美しい懐かしい声。

「どうして来たの」

僕は冷たい声で君に言う。
君はここにいるべきではない。
ここは、罪のある者が堕される場所なのだから。

「あなたこそ、何故ここにいるのです」

少し怒った口調。
そうだろう。
僕は、君の前から姿を消したのだから。

「あなたに罪は無い」

その言葉に僕は笑う。

「あなたに罪は無いんです。だから、ここにいる必要はないでしょう」

君から伝わる熱が、僕を『過去』の僕へ戻そうとする。
それを拒むように、僕は君の腕を振り払う。

「罪?僕の存在自体が罪なんだよ」

この言葉に君はきっと傷つくだろう。
その瑠璃色の瞳を歪ませて。

「何故・・・・・・・!!」

君は叫ぶ。
何故?
それが神と僕との契約だから。

「帰れ」

君を守るためならば

「君はここにいるべきではない」

どんなことでもしよう。

「神の下へ帰るんだ」

例え、この身を闇に堕したとしても。

「僕を忘れて」

「・・・・・・!!」

君に僕の姿は見えないだろう。
与えられた暖かさに涙を流す、僕の姿が。
だが、それでいい。
君だけは、光の中で生きていてほしいから。

「帰るんだ」

声も体も震えない。
流れるのは涙だけ。

「・・・・・・」

一瞬で君の気配が消え、僕はその場に膝をつく。
君に貰った熱を逃がさぬように、自分の体を抱きしめながら。
そして、僕は目を閉じる。
この深い闇の中で、再び長い年月を過ごすために。


君に忘れられるなんて、平気なわけがないだろう?
  
僕のただ一人の愛しい人。
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自然をこよなく愛し、たまに小説なんかを書くマイペースが自慢な人間です。
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