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2007/02/11
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2024/05/02 (Thu)
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2014/02/08 (Sat)
波紋が揺れる。
輝きを増した月の反射する銀色の光が、水面に美しい文様を描いては水の中に消えていく。
そこには昼の喧騒など夢であるかのごとく、静寂だけが佇み、人が立てる音がないために、この場にいるのは自分ひとりであると錯覚しそうになる。
しかし、この場にいるのは自分ひとりではなく、美しくも閉ざされた世界に魅入られてしまった存在がいるのだ。
この目の前に湛えられた、水の中に。

ブクブク

水泡が弾ける音がする。
音がする方に目を向ければ、水中の生物が発する泡のように小さな水泡が、水面に触れては弾けて消えていく。

ブクブク

この水泡を生み出す存在は、水に還ろうとでもいうのだろうか。
そのことを否定しようとも、あれが心のどこかでそう思っていることを知っている。
自分はいつも待つだけで、干渉はしないけれど、いつか本当に消えてしまうのではないかと心配になることがある。
そうして、水の生物ではなく陸の生物である人たるお前を、捕まえたいと願うのだ。

ブクブク

この地球にある水のほとんどは海水で、淡水は3%にも満たないという。
その淡水でさえも多くは氷河や氷山というのだから、人が直接利用できる水は貴重なものであるのだろう。
限られた水の中から、お前はこの世界をどう見ているのか。

(きっと、煩わしく思っているのだろう。それでも・・・)

かつてお前は水の中にいるのが美しいと、好きだと言ったが、外の世界も美しいということを知ってほしいと思う。

ゴポポポ

大量に吐き出された水泡。
それが故意であろうと過失であろうと、命を左右することであることは間違いない。
思わず舌打ちし、服が濡れることも気にせず水に飛び込む。
そうして、触れた熱を逃さないように捕まえて、水の世界から引っ張り上げた。

「・・・げほっ、ごほ」

苦しげな呼吸が、お前が地に生きる生き物だと証明する。
お前が想う世界など理解できないし、したいとも思わない。

(お前を奪うかもしれない世界なんて、いらない)

けれど、優しい世界がなければこの生物は弱って死んでしまうのだろう。
世界に奪われずこの手に留めておくにはどうしたらいいのか。

そんな時、ふと、耳に届いたその言葉。

(・・・ああ、お前がそう言うのなら――)

この愛おしい人魚を逃がさないように、足掻いてみせようか。

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”語り水”の「彼」視点です。

何度データが消えたことか・・・・
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2013/10/11 (Fri)
――青いなぁ・・・・・・・

どこまでも広がる青い空に、私は目を細めた。

 先月まで熱と湿気を含んでいた風はその面影を無くし、夏が過ぎたことを教えてくれる。少々肌寒いはずだが、それを予想して長袖を羽織ってきたので問題はない。

台風だのなんだのでずっと天気が崩れていたのだが、今日は久しぶりに晴れたので、今まで我慢していた分、衝動的に空が見たくなったのだ。シートを敷いてお気に入りの場所に寝転がる。所々に浮かぶ白い雲は様々な形を模して、青の中を自由に漂っている。

私はそれをぼんやり眺めながら、乾いた風が運んできた匂いを肺いっぱいに吸い込んだ。そうすると夏ではない、秋独特の匂いがして、周りを囲む木が風に揺れてたてる乾燥した音すらも、秋が来たことを感じさせる。

「・・・夏が来たと思ったら、すぐ秋って。早すぎるよ・・・本当に」

 アレか。年をとると時間が早く感じられるというアレなのか。私はまだ世間一般的に若い分類にいるはずなんだけど。

 自分の考えたことに落ち込みつつ、ぐーと背伸びをする。
 文句なしの天気にこのまま寝てしまおうかと考えたところで、ふと淡い紫色が視界に入った。

「あ、アケビ」

 のそりと起き上がってアケビが実っている場所まで行く。見上げてみれば色も淡いし口も裂けていないので、食べるにしてはまだ速いことが見て取れる。

「・・・惜しい、おやつゲットだと思ったのに」

 ほんのりと甘いアケビは、秋ならではの山のおやつだ。アケビの中の種の周りについている白い部分を食べるのだが、ほとんど種なので食べると言うよりは、味を楽しんであとは出すといった感じだと私は思う。種からは油が採れるし、私は食べたことはないが、紫の皮の部分は天ぷらなどにして食べるらしい。

 枝に巻きついたツルに結構な数のアケビが生っているので、もう少ししたらまた来て、家族にお土産として採っていくのもいいかもしれない。クマは危ないが、こういう発見があるから山に来るのは楽しい。

「アケビがこの状態なら、クリとヤマナシもそろそろかな・・・帰りに見て帰ろうっと」

 うきうき気分でシートのところまで戻り、コロンと横になる。
 そうして鳥の鳴き声を聴いていれば、日ごろの喧騒から離れてのんびりすることも必要であると思った。

 


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一年前の文章をほとんど直さず、打ち切り状態で載せてみました。

この間、友達と話していたんですが、昔の絵や文を見るとその出来に愕然とします。
・・・ああ、全部消してやろうか、と思ってしまうのも仕方がない。
マシな文章が書けるようになりたいなあ。



2013/06/13 (Thu)
祝うは渚に映る新緑の
幼き花芽の愛しさよ
目覚め謡う鳥たちに
巡りに廻る季節を託し
風は静かに流れゆく
次第に増える色彩に
なんと名前をつけようか
今訪れたるは
穏やかなる春めぐり



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結局、意味なんてないよね(笑)

2013/06/13 (Thu)
伸ばした指先
伝わる感覚に微笑んだ
キミとボクは
背中合わせて先を見据える
ボクが望んでキミがいた
キミが願ってボクがいた
互いに補うことで自分があった
姿が見えなくても
目指す場所は一緒だった

いつからか
指先の感覚が薄くなった
キミとボクが
同じ比率ではなくなった
ボクが望んだキミがいた
キミが願ったボクがいた
互いに競うことで存在があった
個が消えることすらも
忘れてしまったのはボクだった

振り向けば
その存在は失われた
キミとボクの
築いた関係は破綻した
ボクが求めてキミがいた
キミが導きボクがいた
互いがいなければいけなかった
足を踏み出すことすらも
今のボクにはできなかった

手を離したその先で
キミがいてくれたなら歩き出せただろう
夢を抱くボクに微笑んだキミ
もう思い出せないキミという存在に
救われていたボク
だからボクは目を開けよう
手を離したその先に
キミが願ったボクになることを誓って
またボクがキミになれることを願って

2013/06/12 (Wed)
声が出ない
なら、問題はどこにある
語ることができないなら
その眼差しで語るしかない
揺らぎ揺らぐ姿が消える前に
たどり着かなければ意味がない
美しき桃源郷か
果ては、苦しき地獄か
その境界線は今もなお定まらない

道の先に
偽りの像を結ぶ
善きか悪しきかは人しだい
はてさて、己が見るのはどちらだろう
進めど変わらぬ距離に
姿を変える虚像の未来
掲げた言葉が虚ろとなることを嘆く前に
足を踏み出せばいい
そうして掴み取れるのは、今という可能性だから

 
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プロフィール
HN:
彩月 椿
年齢:
33
性別:
女性
誕生日:
1991/03/29
職業:
学生
趣味:
読書
自己紹介:
自然をこよなく愛し、たまに小説なんかを書くマイペースが自慢な人間です。
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